CROSS TALK 座談会

触媒技術の可能性を追求し
新たな領域に挑戦

触媒技術の可能性を追求し新たな領域に挑戦 触媒技術の可能性を追求し新たな領域に挑戦
CASE(Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリング)、Electric(電動化))電動化、自動化、コネクティッド、シェアリングなどの技術革新が急速に進み、自動車業界はまさに「100年に一度の大変革期」を迎えています。
キャタラーは排ガス浄化触媒事業をメインとしていますが、時代の大きな変化に対応すべく、新たな事業にも前向きに挑戦しています。
その先鋒を務める「カーボンニュートラル事業本部」と、「新規ビジネス企画室」のメンバーたちが、各部門の仕事内容や今後の課題と戦略について語り合いました。

TALK MEMBER

  • 寺田 智明
    寺田 智明
    カーボンニュートラル事業本部
    副本部長
  • 堀内 洋輔
    堀内 洋輔
    カーボンニュートラル推進部
    部長
  • 井口 威士
    井口 威士
    新規ビジネス企画室
    室長
  • 青野 紀彦
    青野 紀彦
    新規ビジネス企画室

※掲載内容は、インタビュー当時のものです。

Theme.01 「カーボンニュートラル事業
本部」が取り組む
2つのミッション

カーボンニュートラルの実現

カーボンニュートラルの実現
寺田

キャタラーは、2022年の1月に「カーボンニュートラル事業本部」を新設しました。カーボンニュートラルに向けた動きが世界的に加速する中で、日本は、2020年10月に2050年カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。2050年カーボンニュートラルの達成には、エネルギー・産業部門の構造転換、技術革新などが必要です。当社がこれまで培ってきた自動車用排ガス触媒技術は、省エネルギー技術の側面もあるためカーボンニュートラルの実現にも大いに貢献できると考えています。「自社工場のカーボンニュートラルを達成する」というミッションと、「その技術を応用して新たな事業を創出する」というミッションを掲げて「カーボンニュートラル事業本部」を立ち上げたのです。

カーボンを含まない燃料の製造方法や利活用

カーボンを含まない燃料の製造方法や利活用

カーボンを含まない燃料の製造方法や利活用
堀内

当社には排ガス浄化触媒事業で培った基盤技術がありますので、それをカーボンニュートラル関連の事業に応用していくことが、当部署の仕事内容です。具体的に言うと、二酸化炭素を回収して水素と合成し、メタンに変える「メタネーション触媒の開発」がその一例です。二酸化炭素と水素をメタンに変えるときには触媒が必要となりますので、その触媒の開発を協業メーカーさんと一緒に手掛けています。
また、昨今は二酸化炭素の排出量を減らすため、石油からガスへの燃料転換が進んでいます。しかし、LNG(液化天然ガス)やプロパンガスを使うと、二酸化炭素が必ず排出されます。そのため私たちは、カーボンを含まない燃料の製造方法や利活用、それを使用した際に出る排ガスの処理方法を検討しています。これらは車載向けではないので、当社にとっては新たな事業領域となります。

Theme.02 自社の技術を新規事業の創出に活かす「新規ビジネス企画室」

社外の技術も取り入れて新たな製品や事業の創出

社外の技術も取り入れて新たな製品や事業の創出

社外の技術も取り入れて新たな製品や事業の創出
井口

私たちが所属する「新規ビジネス企画室」の設立は、2013年です。設立当初は「カーボンニュートラル」という言葉すら世の中で今のように一般的ではなく、当時のキャタラーとしては、排ガス浄化触媒事業の分野を強化する方針でしたが、いずれ来る電動化に向けて何か新しい事業を開拓する必要もあるのではないかという考えから、新規ビジネス企画室がスタートしたのです。そのため、幅広い領域に向けて仕事をしているというのが当部署の大きな特徴です。
また、キャタラーのミッションは、触媒を使って環境を浄化するということだという認識がありますので、私たちもカーボンニュートラル推進部と同様に自社の優れた技術を応用しつつ、社外の技術も取り入れて新たな製品や事業の創出に取り組んでいます。例えば、地球に溢れている元素をリサイクルすることで、うまく循環させていく取り組みなどが、例として挙げられます。

Theme.03 地域活性化をサポートする
事業にも着手

地域密着型の取り組み

地域密着型の取り組み
井口

新規ビジネス企画室では、変わった取り組みとして、地域の活性化をサポートするというテーマも手掛けています。アーク・クリエイション・センター(研究開発拠点)がある静岡県磐田市地域の遊休農地の活用がその一例ですが、当社で輩出している二酸化炭素を使って植物の生育を促進し、農業の収率を上げて活性化を図るというのが目的です。地元の方々と一緒に取り組んだり、他の地域から人を呼び込んで農業を体験してもらっても良い。そういったことを地域の皆さんに説明しながら、実現に向けて活動しています。こうした地域密着型の取り組みは、他社では未だ行われていないと思います。

Theme.04 これまで培ってきた触媒技術を未来にどう活かすか

顧客のニーズや課題解決のために

顧客のニーズや課題解決のために
井口

私たちの共通課題として、「これまで当社で培ってきた触媒技術を、今後どのように活かしていくべきか」ということが挙げられます。それを実現するには、やはり、BtoBであれBtoCであれ、顧客のニーズに対して迅速かつ的確に対応していくことが重要ではないかと思います。当社では、これまでに排ガス浄化触媒や、カーボンニュートラル、活性炭など様々な技術を培ってきた訳ですが、今後は各部門のスペシャリストたちとコミュニケーションを取りながら、顧客のニーズや課題解決のために、どの技術を当てはめていけば最適解に繋がるのか検討を重ねていく必要があると思います。

触媒技術が自動車に限らず幅広い製品の核

触媒技術が自動車に限らず幅広い製品の核
堀内

私も井口さんと同意見です。「当社の触媒技術をどうしたら活かせるか」を検討し、その方法を編み出すことはAIにはできないし、実際に当社で仕事に携わってきた私たちだからこそできることなので、これから車載以外の新規性のある分野を対象に、新たな触媒技術の活用に次々とチャレンジしていきたいと思っています。社長からも、今後はキャタラーの触媒技術が自動車に限らず幅広い製品の核となる部分に利用されることを目指そうというミッションを与えられているので、それを着実に遂行していきたいと思います。実際に取り組んだ例として挙げられるのが、ある製薬会社とのコラボ事業です。当社には、フロー合成(ハニカムの中に液体やガスを流して反応を行う合成方法)という技術があるのですが、それを応用して製薬会社と連携し、当社の優れた技術を検証できました。これは、我々カーボンニュートラル事業本部の大きな成果だと言っていいと思います。

Theme.05 技術の応用に
社内のコミュニケーションは
不可欠

他の部署とのコミュニケーションも活発

他の部署とのコミュニケーションも活発
井口

カーボンニュートラル事業本部と新規ビジネス企画室は、事業内容は異なるものの、互いの知見を共有することは日常的に行われています。もちろん他の部署とのコミュニケーションも活発に行われていますが。

堀内

そうです。他の部署との交流でいえば、特に私たちカーボンニュートラル事業本部では、技術の根幹を手がける基盤技術開発部とコミュニケーションをよく取るようにしています。

寺田

私たちの部署がある研究開発拠点のアーク・クリエイション・センターの3階フロアには、「ワイガヤスペース」という透明なガラス張りの空間があります。そこにいろんな部署の社員が集まって、よくディスカッションをしています。なかでも、排ガス触媒の技術的ディスカッションがかなり参考になります。

Theme.06 新規ビジネス企画室が抱える
現状の課題

顧客のニーズを正確に把握

顧客のニーズを正確に把握
青野

新規ビジネスを立ち上げるには、顧客のニーズを正確に把握することが必須条件ですが、最近、顧客が本当は何に困っているのかということがよくわからないケースが多い気がします。それが新規ビジネス企画室の現状の課題ですね。それを打開するには、製品を開発し改良を重ねていくという取り組みを地道に行っていくしかないと思います。改良にあたっては、顧客へのインタビューやアンケートを実施し、その意見をもとに検討したケースもあります。

井口

青野さんの意見を補足すると、ある程度まで完成度の高い試作品が出来上がったら、顧客や一般の方々にプレゼンしてご意見をいただき、それをもとに改善を重ねるというのが基本的な進め方です。今後は、一般の方々にも意見をいただける機会を設けていきたいと思います。

Theme.07 カーボンニュートラル事業本部が抱える現状の課題

時代の変化に合わせて

時代の変化に合わせて
堀内

私がカーボンニュートラル事業本部の仕事に携わっていて、最近特に感じるのは、世の中の変化のスピードの速さです。ですから、時代の変化に合わせて、開発のスピードを速めていくことが喫緊の課題です。そのための対策の1つとして挙げられるのが、DXの推進です。当社には既存の基盤技術のビッグデータがありますが、DXを進めてそれを上手に活用していけば、課題解決に繋がると思います。

寺田

私が現状の一番の課題だと感じるのは、社内のマインドチェンジです。普段、製薬会社など異業種の方々と話をすると、触媒技術への期待感が非常に大きいことを感じます。でも、社内ではそれをあまり自覚できていないように感じます。車載以外の分野における触媒技術の可能性は非常に大きいのですが、会社としてはまだまだ排ガス触媒がメインだという意識が強く、どうしてもそちらに力点が置かれる傾向にあります。その部分のマインドチェンジを図っていく必要があると思います。

会社の意識を変えるきっかけ

会社の意識を変えるきっかけ
井口

寺田さんがおっしゃるように、私も会社のマインドを変えることは、今後の事業展開において非常に重要だと思います。現状の排ガス浄化触媒は、顧客から明確な要求を提示され、その要求を達成すれば仕事がいただける状況ですが、それはビジネスとしては非常に特殊な形態だと思います。私たちのように新規事業を手掛ける場合は、目の前の要求を達成しても、顧客が抱える根底にある課題の解決策を提案していかないと売れて行きません。実は、世の中の大半のビジネスは私たちと同じだと思います。キャタラーは、そのようなマインドにまだ至っていないので、そこを変革していかなければならないし、カーボンニュートラル事業本部や私たち新規ビジネス企画室が実績を挙げていくことが、会社の意識を変えるきっかけになるのではないかと思います。

Theme.08 今後のビジョンと戦略

社会課題と触媒技術を結びつけて事業を展開する

社会課題と触媒技術を結びつけて事業を展開する

社会課題と触媒技術を結びつけて事業を展開する
寺田

先にも述べましたが、カーボンニュートラル事業本部では、車載以外の分野への事業展開を図っています。しかし、当然ながら我々の力だけではそれを果たすことはできせん。そうなると、大切なのはやはり「仲間づくり」です。例えば、色々な場面でアライアンスを組んだり、親和性のあるメーカーさんと一緒にものづくりに取り組んだりしていく必要があると思います。自社だけで新たな事業に取り組むとなるとコストが膨大にかかるので、仲間づくりによって足りない部分を補填できれば前進できます。そうして開発のスピードを速めていくことに今チャレンジしようとしています。

井口

新規ビジネス企画室では、部署の名称通り、新規事業を創出することが今後の戦略そのものです。欲を言えば、新たに創出した事業が「ベンチャービジネス企業」に発展し、より自由な発想で企業活動を展開していけたら素晴らしいと思います。

地域のカーボンニュートラルにも貢献

地域のカーボンニュートラルにも貢献
寺田

カーボンニュートラル事業本部では、排ガス触媒技術をコアにカーボンニュートラルの実現に向けた新技術開発を進めていきます。この技術は、自社工場のカーボンニュートラルを達成し、地域のカーボンニュートラルにも貢献していきます。さらに、カーボンニュートラル分野にとどまらず、新規分野にもチャレンジしていきます。新規分野への参入には事業戦略も必要不可欠です。そのため、2023年1月から「コーポレート戦略室」という組織を新たに発足し新規事業分野の取り組み体制を強化しています。今後のキャタラーにご期待ください。

Theme.09 これから入社を目指す皆さんへ

新たな事業を1から作り出す醍醐味

新たな事業を1から作り出す醍醐味
井口

最後に、当社への入社をご検討中の皆さんにメッセージをお送りします。新規ビジネス企画室では、発想が豊かで、自分で開発したものを後世に残したいという意思のある方を歓迎します。チャレンジ精神が旺盛で、何にでも前向きに取り組む方と一緒に、新たなビジネスを作り上げていきたいと思います。

青野

新規ビジネスは、社員の新しい発想や意見がきっかけで生まれます。そのため、新規ビジネス企画室は上下関係がなく、互いにフラットな立場で自由に意見を言い合える環境が整っています。新たな事業を1から作り出す醍醐味を、一緒に体験しましょう。

幅広い分野の人材が必要で活躍の機会も多い

幅広い分野の人材が必要で活躍の機会も多い

幅広い分野の人材が必要で活躍の機会も多い
堀内

新規ビジネス企画室のお二人がおっしゃるように、カーボンニュートラル事業本部でも、やはりチャレンジ精神が旺盛な方を求めます。触媒は、より少ないエネルギーで反応を起こすことができるため、様々なエネルギー問題に貢献できる重要な材料物質です。また、日本はエネルギー資源が乏しいので、触媒を通じて我が国のエネルギー問題にも貢献できます。そういうことに意義を感じて、新しい分野にチャレンジしていきたいという方を歓迎します。

寺田

当社は技術系部門のうち8~9割を化学系の社員が占めています。
しかし、カーボンニュートラル事業本部の製品として、触媒が搭載された反応装置を考えています。装置化には機械や電気、DX関連の知識や技術が求められます。化学系だけでなく、幅広い分野の人材が必要で活躍の機会も多いと思います。どんな部門の方も歓迎します。一緒に新規事業を創出していきましょう。

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